新曲も好調なGhostface Killahの魅力を、あの名曲のPVでおさらいしたい

新曲も好調なGhostface Killahの魅力を、あの名曲のPVでおさらいしたい

Ghostface Killahにはなんともいえない魅力がある。

ハードでありながらユーモアがあり、スキルに加えて人とはひと味もふた味も違うリリシズムに溢れ、クールなのにどこか垢抜けなさもあり洗練されていながら泥臭い。この人にしかない絶妙なバランス感覚。存在自体がリアルヒップホップのお手本、それがゴーストフェイスという男だと私は思う。そんな彼の持ち味が最大に発揮されたPVがこれだろう。99年にシングルで発表された「Apollo kids」である。この曲は、翌2000年発表の名盤『Supreme Clientele』にも収録されたクラシックだ。ちょっと前に久々のソロアルバムを出したばかりだというのに、なぜ新曲を先に紹介せずにこれなのかと言われそうなのは承知で、あえてこの曲を紹介したい。曲自体、相当の熱量にあふれた「熱い」曲である。

“this rap is like Ziti,facing me real TV
Crush at high speeds,strawberry kiwi”

というイマイチよくわからないけど彼によって発音されるととんでもないカッコいいフレーズに聴こえてしまうという彼のリリックに顕著なラインもしっかり登場する。

ただ、今回力を込めて紹介したいのは曲の内容ではなく、そのPVでの彼の勇姿、その一点である。PVは全編まさにこの人にしかなしえないような、パンチライン同様、よくわからないけどカッコいい世界観が広がっているのだが、この中で、なぜかGhostfaceはアイスクリームを片手に、時にアイスにかぶりつきながら熱いヴァースをスピットしまくるのである。
アイスクリームを食べながらここまでカッコよくラップできる男は、人類のなかで他にはいないだろう。コメント欄には「アイス片手にこんなにギャングスタなのはゴーストフェイスだけ」というコメントもあり、やはりみんな目が行くのはそこだということがうかがえる。おそらく、いや、間違いなく、この人ならばしゃもじとかお玉とかそんなもの片手にラップしてもカッコイイのだろう。
それに加えて、注目して欲しいのは、この時のGhostfaceの男前っぷりだ。「イケメン」ではなく、あえて「男前」という言葉を使いたい。

 

ちなみに、上で引用したライン、ゴーストは近年のインタビューで、「”Strawberry kiwi”って言葉を入れたのは、実験的なもんだよね。”自分以外は何言っているのか誰も分からないようなものを書く”っていうスタイルを考えていたんだ。」と語っており、実は意図的にワケ分からない言葉を使ってきたことが判明したわけだが、
「rap is like ziti」の部分については、「このラップはオレがその当時一番好きだった食べ物であるズィーティ(パスタの一種)みたいだからグッドだって言ってるんだ」と良く分かるような分からないような説明をしているのが彼らしい。

時は流れて2019年、渋さに磨きがかかったゴーストの新作がこれだ。
相変わらずのストーリーテリング巧者でありリリシスト、そしてそれを引き立てるこの人の専売特許とも言えるソウルフルなトラック、映画マニアのウータン一派らしいクライムサスペンス風のPVとファンが求める要素がつまった一作だ。

未分類カテゴリの最新記事